企画開発本部
静岡第2企画部 第2課
大谷 将好
「うちの会社は、みんな向上心が強くて刺激的」
特に不満があるわけではなかった。むしろ人間関係も良好で、会社は居心地よかった。ただなんとなく娘が小学校に上がり、引っ越しした頃から“転職”を意識するようになった。
ある日、駅前でばったり出会った同級生と「一杯やろう」と、居酒屋に入った。お互いの近況や会社の話などをして別れたが、それから日が経つにつれ、同級生が勤めていた会社のことが気になり始めた。
「うちの会社は、意識が高い。みんな向上心が強くて刺激的だよ」
そのひとことが頭から離れなかったのだ。
「前職はとても安定した職場でした。でも同級生の話を聞いているうちに、そんな環境に身をおいたときに、自分はどうなるんだろうと興味が湧き始めました。そしてタイミングよく、レックが中途採用の募集をしていたので思い切って受けてみることにしました。」
そうして大谷将好さんは、「バイタリティあふれる」レックに転職することになった。
「うちの会社では、何をつくっても構わない」

配属先は、企画開発本部。前職同様、インダストリアル・デザイナー(ID)を担当している。
プラスチック製品のデザイン、3DCADを使用しての製品設計、金型製作のための検討、金型でつくられたテストショットサンプルに調整を入れて扱いやすい製品にしていく作業は、前職でも経験があったため、それなりに手ごたえを感じている。
しかし、レックに入社して驚いたことがある。取り扱う商品の幅広さと求められる発想力だ。
レックには、企画開発本部に所属する社員は全員、新商品のアイディアを考え、提案するノルマが課せられている。アイディアを上司に提案し、合格をもらえたものを会議でプレゼン。ここで再度、ふるいにかけられ、採用されたものは商品化に向けて推進されていく。その最初のアイディアは、“生活・暮らし”に紐づくものならばジャンルは問われないのだ。
「転職をするとき、自分は何をつくりたいのか、ひとつに絞れずにいました。おもちゃや雑貨、生活用品……インダストリアル・デザイナーとしていろいろなものに関わっていきたいと、面談のときにそのことを素直にお伝えしたら、“うちの会社も幅広い商品を抱えている、何をつくっても構わない”と言われました。それを聞いたとき“この会社で働きたい”と思いました。」
アイディアは無限大にある。テーマが広すぎて考えるのは大変だが、その裁量も各個人に委ねられているのだ。
子どもと一緒に遊べるおもちゃをつくることを夢みて

現実は厳しい。入社してから数カ月。目下、提案したアイディアは3連敗中だ。前職では考えたことがなかった生活・暮らしの商品アイディアがなかなか編み出せず、正直、仲間が次々に新しいアイディアを提案していくことに少し焦りも感じることがある。しかし同時に、インダストリアル・デザイナーとして新しいものをつくることへの欲求は、日に日に増していっているという。
「インダストリアル・デザイナーとしての通常の仕事に加え、毎月、新しいアイディアを考えるための情報収集をしたり、調査したりしないといけません。仕事は何倍も大変になりましたが、でもそれはちょっと安定志向に陥りはじめていた私にとって刺激的なものでした。もっと暮らしに便利な良いものをつくろうと、ここにいる人の誰もが考えています。この中のひとりにいられることが、今は素直に嬉しく思っています。」
CADやプラスチック材料などを使って実際の商品イメージに近い、子どものおもちゃを手作りして提案したが不合格。家に持ち帰って“けっこう良いと思うんだけどな”と愚痴をこぼしながら、「いつか子どもと一緒に遊べるようなおもちゃをつくる」という夢をみながら、密かにワクワクする毎日を過ごしている。